2010年2月28日日曜日

どうもありがとうございました~和と洋の融合~



昨日、 古楽レクチャーコンサートの第3回目<和と洋の融合:バロック・フルート+尺八+筝>の公演が行われました。
朝は雨が降っていたので、お足元が悪かったにもかかわらず、たーくさんのお客様にいらして頂きまして会場は満員!みなさまご来場どうもありがとうございました^^
一般的に東洋(日本)と西洋というと相反する性質を持つものとして捉えられます。
しかし意外にもこの両極の2つの音色を掛け合わせると生み出される音色の美しさ、可能性を感じたきっかけは、私がオランダに留学中のことでした。
私の住んでいた町にはあまり日本人はおりませんでした。
遠い謎めいた国から来た女の子に人々は興味津々で、よくよく日本についての質問をされました。あるとき「日本の曲を吹いてくれ!」とリクエストされ、戸惑いながらも<さくらさくら>を演奏したときのこと…西洋の古楽器は日本の音楽に合う!と感じたのが始まりでした。
実はバロック・フルートは現代のフルートよりも尺八や篠笛の音色に似ている気がします。確かによく見るとたくさんの共通点があって、その材質がどちらも木製だということが最も大きな要素なのではないかと思います。
それから昨年の秋に、ローラン・テシュネ氏の企画・主催する和楽器と古楽器とのオーケストラ<アンサンブル室町>の公演で、初めて和楽器とのコラボレーションを体験したときに、和楽器の持つ美しさを知り、さらに共演したいという意欲が高まったのも相まり、邦楽奏者のご理解・ご協力を得て今回の<和と洋の融合>企画が実現いたしました^^
昨日の公演を終えて…「お筝や尺八(邦楽器)とバロック・フルート(西洋の古楽器)との意外な音色のマッチにはびっくり!」とお客様から多数ご感想が寄せられました。
お筝の平田紀子さんと尺八の渡辺元子さんの楽器についてのレクチャーも大変興味深く、分かり易かったです。
それから、東洋と西洋の伝統的な音楽を、若い世代の人たちが積極的に勉強をし、普及活動に力を入れていることにとても感動しました!とのご意見も多く頂きました。
西も東も南も北も、素晴らしい伝統は後の世に継承していくべきだと思います。
和と洋との融合はとても美しいと好評を頂きましたので、またまたコラボレーション企画をさせていただきたいと思います!
今回は西洋(私)が、<和>の音楽に融合することに挑戦いたしましたが、次回は和のお二人が<洋>の音楽に融合したいとのこと!ふふ、どうぞお楽しみに。
余談ですが、今回私は子供のときの七五三以来に着物を着ました。
その初めての着物以来、窮屈で辛い(涙)もう着物は着ない!と子供心に決めておりましたが、今回の和との融合では気持ちも和に近づきたい!と意を決し、母の着物を引っ張り出してもらいました。
平田さん、渡辺さんが演奏前に美しく着付けして下さったのですが(ヘアも平田さんがして下さいました。彼女は何でもできちゃうのです!すごく器用。)もう苦しいのなんのって・・・息をするのも苦しいのに、これで楽器を演奏するなどとは・・・と恐ろしくなったのもつかの間、目が白黒しているうちに、すでに開始時間が押していたので入場。
邦楽奏者はいつも和装で演奏されているというから、驚きです!すごいなぁと関心しておりました。
いつも食いしん坊の私が着物を着ているときは、全く食欲を感じなかった・・・というか、この状態では何も食べられません。1日たった今でもまだちょっと胃の辺りが緊張している感じが残っている。私は締め付けられるのが苦手なんですね。
でも嬉しかったです、子供のとき以来の着物!
そして3人色とりどりの和服でみなさまに春の空気を運ぶことができたら嬉しいなぁと願いをこめての演出でもありました^^
最後に、いらして下さった大勢のお客様方、素晴らしい共演者、いつも陰で支えてくれる友人、家族に心からの感謝をこの場をお借りして申し上げたいと思います。
写真㊤:お茶会の後で、左から加藤さん、金さん(お二人はチェンバロ奏者)、お筝の平田さん、尺八の渡辺さん、私、悦子さん (受付のお姉さん)
写真㊦:演奏者の持ち楽器が変わっています^^

2010年2月15日月曜日

旧東京音学校奏楽堂にて

2月7日(日)
寒空、だけれども美しい晴天の日曜の昼下がり、巨大な上野の森の一角にあるここ「奏楽堂」でチェンバロ奏者の加藤由梨さんと日曜コンサートで共演させて頂きました。

いつも芸大に行くときにこの歴史ある建物の脇を足早に通り抜けるのですが、中に入ったのはこれが初めて。なんだかわからないけどすごく気になっていました。この建物からは引き寄せられるような何かが発せられていた。
時折立ち止まって眺めるのですが、なんせいつも芸大にギリギリに到着するので中には入ったことがなかったのです。

中身も歴史を感じさせる趣のある洋館造り。
現代の緻密に計算された音楽ホールのようによくよく響く、という箱ではないけれど、吹いていてとても心地のよい場所でした。
何と表現したらいいのだろう…こぅ、空間全体が無機質ではなくて呼吸している。館全体に生命がある感じ。現代のような鉄筋コンクリートではなくて、木造のものだからかなぁ。
演奏する人間も、ここの空間の波動と呼吸を共に音を出すことが望ましいのではないかと…
とっても素晴らしい経験になりました。

演奏し終えてから、この建物のことが気になって調べてみたところ…
明治23年に日本で最古の木造の洋式音楽ホールとして建設され、今では国の重要文化財になっているそう。そして私の演奏させていただいた音楽ホールで、かつては滝廉太郎がピアノを弾き、山田耕作が歌を歌い、三浦環が日本人による初のオペラ公演でデビューを飾ったところだと・・・
そんな由来があったのか!と驚くと同時に、この何とも云えない歴史の重みを感じさせる波動はここから来ているのではないかと妙に納得してしまいました。

貴重な機会を与えて下さったことに感謝いたします。

皆様も上野の森にお立ち寄りの際には、この「奏楽堂」に足を運んでみてはいかがでしょうか?