
次回の古楽レクチャーコンサート5月29日(土)「イタリアの宴」のゲスト
中村貴志さんに突撃インタビュー!
中村さんは歌手であり、そしてまた指揮者であり、作曲もしてしまいます!
彼はルネサンス~現代までと幅広い時代の音楽に精通しています。
こんなにもマルチな中村さん。
お話をすると知的でオープンな精神の持ち主、努力家でオプティミストなお人柄、
そして音楽に対する熱い情熱が伝わってきます(ついでに人情もとても厚いです!)
そしてお若いのに、何物にもとらわれない独自の哲学の持ち主でいらっしゃる。
以前、私の記事「人物百科①」の中で中村さんをクローズアップさせていただいた際には
私の目から見た彼を描写させていただきました。
しかし今回は幸運にもご本人に語っていただくチャンスを頂きました。
雪:中村さんの音楽活動の内容と、どのようにして(どのような経位で)ルネサン
スから現代までという、幅広いレパートリーをお持ちなのですか?
中村:僕は中学2年生の時にL.v.ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付」を聴いて感動して
いわゆるクラシック音楽が好きになりました。
高校1年生の時、偶然観たクラシック音楽のテレビ番組で現代の前衛音楽が演奏されました。
僕はそれを聴いて大変ショックを受けました
ベートーヴェンのような作品が音楽だと思っていた僕は「これが音楽なのか!?」と思いました。
一方で、生涯音楽を追 求していきたいと思いました。
つまり現代音楽を聴いたことがプロの音楽家にな るきっかけなんですね。
それから時代を遡って勉強していったんです。
遡っていって、僕のできるいちばん古い音楽はルネサンスだと思っています。
ルネサンス以降で僕のできる音楽はどんどんやっていきたい。
理解できたら、時代も国も飛び越えられます。それが音楽の素晴らしさです。
雪:ほぅ…
雪:声楽の魅力について教えてください。
そして今回選曲されたイタリア歌曲の魅力とその聴きどころはどんなところでしょうか?
中村:声楽の魅力は肉体から音を発することです。つまり音のすべてを自分自身で
作り上げることができる。
また極端な例えですが、楽器は誰が演奏しても、その楽器の音がしますが、
声は個人個人違います。音色は多彩で千差万別です。
今回取り上げたイタリアの歌は声楽の基礎を学ぶために、現在でも世界規模で
広く歌われています。
400年から300年前の歌が時代によって多少形が変えられてはいるものの、
歌い継がれているのはすごいですよね。
イタリアの歌には万人に愛される旋律と歌心があるように感じますそれが魅力です。
今回は原点に立ち返って、原典に近い形で演奏します。これが聴きどころです。
雪:ほぅ、なるほど…
「中村貴志」という楽器の音色を聴かせて頂けるのを楽しみにしております!
実際、中村さんご自身が原曲から書き起こして下さったイタリア歌曲の楽譜は、現在音大生の間で
最もよく使われる市販のエディションのものと、色々違うところがあって興味深いです。
そう、かつて私も学生の頃に声楽のレッスンでイタリア歌曲を歌った記憶が蘇ってきました…
シンプルで明確で美しいイタリアの古典音楽は、イタリア人の
気質に関連しているのでしょうね。
そして燃えるような恋心や切なく身を裂かれるほどの恋に狂ったテーマの詩が
非常に多いのも特徴ですね!
恋を自由に謳歌する、陽気で奔放なイタリア人を中村さんはどう演じて下さるのか…
当日のお楽しみです!
雪:中村さんはよくヨーロッパの海外ツアー公演に行かれるので、イタリアもよ
くご存知かと思われますが、ずばり中村さんの感じる「イタリア」の印象につい
て少しお話し頂けますか?
中村:よくは行かないのですが(笑)
しかもイタリアに行ったのは昨年8月が初めてです(笑)
僕はドイツにはたびたび訪れますが、なぜかいつもホッとします。
落ち着きます。ビールが大好きですし、ドイツ音楽も好きですし、
ドイツの森の多いところも好きですし、ドイツのあらゆる物事を受け入れられます。
僕の前世はドイツ人だったと確信しています(笑)
もしかしたら、遠い遠い昔のドイツ人の血が混ざっているかもしれません。
日本人らしくないってよく言われますし(笑)
ヨーロッパの他の国に行っても、大きな衝撃を受けることはないのですが、
イタリアは違いました。
イタリアを巡って大いに衝撃を受けました。町の至る所に歴史の重みを感じるのです。
もちろん他の国にも歴史の重みを感じるものはありますが、
イタリアはその比ではありません。
しかもそれが当たり前のように存在するのです。
イタリアは地中海に面しており、貿易で栄えた国です。多くの国と交流があったわけです。
そういう中で多種多様の人々が集まり、多種多様の文化が集まりイタリアは独自の文化を
作り上げ、ヨーロッパに発信していきました。
だからイタリアにはヨーロッパの原点があると言えるでしょう。
雪:そうか中村さんはドイツ人だったのですね…確かにいつもビールがぶのみ!(笑)
現在も歴史建造物が、そこかしこに残るイタリアはまるで町全体が巨大な遺跡のよう。
当時のイタリアにどんな人々がいて、どんな文化を持っていたのか?
また当時№1の文化の先進国であったイタリアが周りのヨーロッパの国々に与えた影響などを
今回のレクチャーで詳しく解説させていただきたいと思っております!
雪:最後に、中村貴志さんご自身についてのお話を伺いたいと思います。
①声楽家の道を歩もうと思ったきっかけ
中村:声楽は打楽器とともに音楽の最も原始的な手段です。
音楽の根本です。それを学びたいと思いました。
しかし、僕は声楽家かと言われるとそれだけじゃない。
指揮もしますし、合唱指揮もしますし、編曲もします。
どれもが同じ比重です。相互に作用して、音楽家「中村貴志」を作り出しています。
②これからしたいこと(音楽でも人生においてのことでも)
音楽においては日本の作品、
特に明治から第二次世界対戦前後までの作品を積極的に取り上げ広めていきたい。
この頃の日本の作品はあまり知られていません。
日本人として生まれたので、日本の文化を担いたい。
人生においては結婚して家庭を持つことかな。
雪:おぉ!素晴らしいと思います!
私も日本人の持っている特有の「よさ」というものを表に出していくこと
または新しい角度からのアプローチがしたいと考えております。
例えば、前回の和楽器と古楽器とのコラボレーションはとても興味深いものでした。
日本の伝統芸術は美しいです。
中村パパ(笑)見てみたい^^幸せな家庭が築けると思います。
③ご自身の「モットー」
生きること。生き抜くこと。
雪:強く共感します↑そぅ生きること!
中村さん、熱いメッセージをどうもありがとうございました!
5月のコンサートで共演できることを心より楽しみにしております。
雪